2005年05月01日

その刹那……

愛すべき我が生徒達。

「先生~、現代文なんかなんぼやっても成績上がれへんやん」

「何で国語なんかできんのぉ? センセずるいわ

ううーん。
それはなおまえら。
あまりにも語彙が少ないからだよ。
もっと言葉を覚えなさい。

漢字テストの勉強もしっかりしてきて下さい。
切実に。

今年卒業した生徒達は、
色々思い出深い子たちでした。
高3はこの3年でで全部で6クラスほど担当しましたが、
一番相性の良かったクラスかも知れないですね。

授業のノリも良かったし、
臆面なく全員が発言できる雰囲気が作れたのが良かった。

色々とエピソードのあるクラスです。

その一つをご紹介しましょう。

刹那の意味について。
もちろん、=瞬間という意味です。
みんな知ってるよね?
と思いつつも。一応確認します。

「じゃ、○○、刹那ってどういう意味?」

正解が返ってくる構えで黒板に答えを書く用意をして質問します。
生徒も、自信満々に答えてくれました。

「切ないって事やんな」

この時の私の心境を、ご理解頂けるでしょうか

切ないってアンタ、ギャグじゃないんだから!
高3ですよ?中3じゃないんですよ?

というか。
少年漫画読んでたら良く出てくるでしょうが!
敵にやられそうになった刹那、主人公は覚醒したとか、
そういう具合に使われますでしょ?

どこの用法に切ないって出てくるの!?

私「どこで教えてもらったのその意味?」

まったく躊躇わずに答えたのですから、
自信はあったのでしょう。
胸を張って答えてくれました。

生徒「歌にあるやん」

私「……誰の歌? タイトルは?」

生徒「ほら、あれやん、あれ。刹那に散りゆく運命と知って~♪ってやつ」

それはもちろん、あの森山直太朗の独唱「さくら」でしょうね、もちろん。

生徒「桜がせつないって言ってるやん」

私は深呼吸をしました。
生徒が大真面目に答えていることは、疑いようがありません。

私「それ、森山直太朗が聞いたら怒るよ?」

生徒「なんで」

私「良いかよく聞いてな。刹那ってのはね。一瞬、とか瞬間という意味なの」

生徒「ええ!? だって桜は!?」

私「(まだ言うか……)あれは、桜はすぐに散ってしまうっていう意味の歌なの!」

生徒「マジで!?」

……マジです。ハイ。
大丈夫かなぁ。大学受験生なんだけどなぁ。

生徒「すげぇ。勉強になったわ。明日学校で友達に教えたろ! 絶対みんな知らんわ」


……やめとけ。
絶対に恥かくから!!


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